Muito bom ポルトガル

ポルトガル-----日本ではちょっとマイナーな遠い国。でもどこかホッとする国。ポルトガル語の勉強メモや「へぇ〜」な記録を書き連ねるブログです。

司馬遼太郎も訪れた漁港ラゴス~大航海時代の幕開けを告げた町~

 ポルトガル南部アルガルヴェ地方の港町ラゴス―――。

 定年退職したイギリス人やドイツ人の夫婦が多く暮らすのどかな町です。入江近くを歩けば、ポルトガル語よりも英語、ドイツ語のほうが多く聞こえてきます。こうした外国人富裕層を対象に高額マンションを扱う不動産屋も多くあります。

 海岸近辺で5~6部屋、プール付きなどの豪邸に1~2億円超の値段が付いていました。2~3部屋、プール付きで少し海岸から離れたところのアパートメントも5~6千万円です。一般的なポルトガル人世帯には手が出せない価格でしょう。

 この地域は温暖で治安もよく、物価も安いとあって、欧州のリタイヤ組の富裕層が余生を過ごすうえで近年人気のエリアになっています。英国のEU離脱決定を受けて、ポンドは対ユーロで安くなりましたが、欧州内における相対的な魅力の高さから、引き続きイギリス人を中心にこの地の物件を多く買っていくことでしょう。各国の国旗を掲げた自家用ボートやヨットが入江に数多く停泊していました。こうした外国人を相手にしたレストランやBarも多くあります。

 不動産と書いて思い出しましたが、低所得者層を支持基盤にする急進左派政党の閣外協力に支えられている現在のポルトガル社会党政権は、先日発表した2017年政府予算案で、従来の一般的な固定資産税(IMI:市税)に加え、総額60万ユーロ以上の不動産(観光や産業目的の不動産は対象外)所有者に対し、その0.3%を毎年課税する新税(国税)の導入を決めました。

 同税導入に対し、右派政党や富裕層などから、外国からの投資が減るとの危惧が出ましたが、このまま導入される見通しです。社会党政権はこの新税による来年の税収を1.6億ユーロ(約180億円)見込んでいます。

 ちなみに、政府はこれに合わせてさらなる税収確保を図ろうと、観光客の大幅増にあわせてポルトガル国内で一気に増えてきた民泊施設(Airbnbなど)を対象に、その売り上げにかかる税率を15%から35%に大幅に引き上げることを決めました。一般のポルトガル人が借りるような一般賃貸物件(家賃にかかる税率28%)が、これぞとばかりに、税金の安い民泊向けに用途を変える状況が続き、社会的に少し問題になっていたことも背景にあります。

 

 話が大分それましたが、ラゴスの歴史についてです。30年以上前にこの地を立ち寄った司馬遼太郎はこのようにつづっています。

この世でうかうかと過ごしているうちに、ラゴスという思いもよらぬ歴史の中に迷いこんだふしぎな感じがした。ただ、平凡な入江だった。日本の室町中期、若いころのエンリケ航海王子たちがありったけの艦船をあつめてセウタへ渡海した出発港であったような顔つきはしておらず、ただの漁港のように見うけられた。

司馬遼太郎街道をゆく 南蛮のみちⅡ 23』:朝日文庫p253

 

 

街道をゆく〈22〉南蛮のみち 1 (朝日文庫)

街道をゆく〈22〉南蛮のみち 1 (朝日文庫)

 

 

 

街道をゆく〈23〉南蛮のみち2 (朝日文庫)

街道をゆく〈23〉南蛮のみち2 (朝日文庫)

 

 

 

ただ、ここは大航海時代の幕開けを告げた歴史的に大変重要なところでした。

 

 1415年7月27日、まだ若かったエンリケ航海王子とその二人の兄の王子をふくめた艦隊と陸兵は、この入り江に集結した。(略)その規模は2百隻をこえる艦船と人員5万、そのうち2万が歴戦の戦士という大軍だったという。

 ラゴス入江から、北アフリカのセウタまでの大西洋の海は、直線で約300キロにすぎない。イスラム人なら何でもないこの渡海が、ポルトガル人にとっては、カタツムリが溝を飛びこえるほどの奇跡的な勇気を要した。悲鳴をあげるようにして渡海し、結局セウタ岬にゆきついた。そのセウタ城を覆滅し、略奪し、あらゆる財宝をもちかえった。それが、十字軍一般の行動で、ポルトガル人だけが胴欲だったわけではない。

 もっとも、小国のポルトガルの力では、セウタの占領を維持はできなかった。

 しかし、渡海の勇気を得た。あと必要なのは、航海・造船の技術を、非ヨーロッパ人からまなぶことだけだった。

司馬遼太郎街道をゆく 南蛮のみちⅡ 23』:朝日文庫p250~251》 

  地球の歩き方には紹介されていませんが、ポルトガル大航海時代の歴史を紹介した博物館がラゴス駅のすぐ近くにあります。蝋人形の館のようですが、意外に勉強になります。展示の最後には日本について紹介されています。南蛮屏風の小さなコピーも展示されていました。入場料は1人5ユーロです。30分~1時間もあれば十分楽しめます。 

Portuguese Discoveries Wax Museum

 ラゴスリスボンから南部ファロ行きの特急に乗り、途中Tunesという駅でオンボロ電車に乗り換えてから約1時間です。電車の本数は多くないので、事前にポルトガル国鉄(CP)のサイトで確認または予約しておくことをおすすめします。

Home :: CP Passageiros

大航海時代に興味がありましたら、ぜひラゴスを訪れてみてはいかがでしょうか。 カヤックやボートで洞窟を巡る自然アクティビティも楽しめます。イルカウォッチングや水上ジェットなどもあるようです。

 

 【ラゴスの景観】

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ラゴスの位置】

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